チプラスの「錯乱」は対岸の火事か?
2015年 07月 12日
国民投票の結果に後押しされて、てっきり強気に出ると思われていたギリシャ首相・チプラスは、1週間で結果を反故にするかのような手のひらを返し、反緊縮策の承認の最大の難関と思われていたギリシャ議会での承認に、予想外の圧倒的多数で成功した事で、今までは「無能」のレッテルから「策士」「強か」という評価まで出てくる始末で、世人の心の移ろいやすさにただただ呆れるばかりである。
が、それにしてはチプラスの対応は余りにもちぐはぐではないだろうか。
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国民投票というモンスターが破壊するEUの社会統合
2015年 07月 06日
列強各国の均衡と抑制によって維持されようとした平和はしかし、40年ほどしか続かない。1600年代後半には早くも南米の植民地支配をめぐる衝突が発生し、1700年初頭の北欧諸国での戦争、そしてフランス革命以降のナポレオン戦争によって完全に崩壊する。
時は350年ほど移り、1992年11月にマーストリヒト条約が発効し、EUが誕生する。第2次世界大戦の惨禍と陰惨な東西対立を乗り越え、ヨーロッパを二度と戦場にしないという平和的な理想を掲げて誕生した時の加盟国は12。現在は28か国で構成されている。
ハナシをまとめる当事者は随分と減った。しかし、それでもやはりヨーロッパはまとまらない。
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スコットランド住民投票が露呈した「過半数」という劇薬
2014年 09月 20日
われわれ、イギリスのような国に住む人間としては、国際関係のような大問題についても自分で考え、意見をまとめるつとめがあるのかもしれません。しかし、人生というのはそういうものでしょうか。庶民がすべての問題について「強い意見」を持つことなど期待できるはずがありません。(中略)そして、そうした期待は非現実的であるとともに、望ましいことでもないように思います。結局のところ、庶民が学び知りうることにはかぎりがあるわけで、国家の大問題について、彼らすべてに「強い意見」を示すように望むのは、賢明なこととはいいがたいでしょう。
(カズオ・イシグロ「日の名残り」)
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