歪な耐震偽装逮捕劇に思う「共謀罪なんてホントにいるのか!?」

 今週になって大きく動き出したかにみえる耐震偽装事件。
 しかし、逮捕された8人の容疑は、名義貸しや見せ金増資など、典型的な別件逮捕であった。
 見せ金増資に容疑にいたっては思わず吹き出してしまった司法関係者もいるのではないだろうか。こんなことで逮捕されるなら、メガバンクのトップだって逮捕されなければなるまい。司法当局の「サジ加減」で、個別事件の合法・違法を決められる病理的弊害を如実に示している。

 それでは、「本件」と思われる耐震偽装に絡む詐欺罪の適用はあるだろうか。
 現時点では、非常に難しいといわざるを得ない。なぜなら、肝心の「絵」を描いた人物が逮捕されていないからである。
 総研の内河所長である。



 先週放送された、テレビ朝日系列「サンデープロジェクト」に出演したジャーナリスト・魚住昭氏も指摘していたが、耐震偽装事件捜査が難航している最大の理由は、「詐欺共謀」の事実を捜査当局がつかんでいないためである。
 その大きな理由が、おそらく姉歯容疑者も含めて、関係者が「完落ち(完全自供)」していないためであろう。堅いガードに守られた事件の首謀者と目される人物の罪が問われないまま、とりあえず周辺人物の逮捕で、「行ける所まで行ってみよう」とばかりに供述証拠を固めに出たのである。泣かせる話である。

 もう一つ、考えられる理由はいわゆる政治的配慮の問題である。
 総研の内河氏、ヒューザーの小嶋容疑者の周辺には、何人かの国会議員との交流が取り沙汰されていた。
 事件の全体像を把握しているとみられる総研の内河氏の事情聴取が未だなされていないまま、周辺人物が逮捕されているというのは通常の捜査手法から考えても、極めて不自然である。

 政治的配慮という点で危惧されるのは、今週、野次と怒号の中審議入りとなった「共謀罪」を創設するための刑事関連法案の改正問題である。
 一見、テロ組織対策などの「もっともらしい理由」がついているが、実態としての司法当局の捜査には、政治的配慮からくる「サジ加減」があるのは常識といっていい。

 「サジ加減」で象徴的な事件は、立川市の自衛隊官舎に反戦ビラを投函した活動家を住居侵入罪で逮捕・起訴した事件だ。
 過去、こうした取締は、風俗店のビラなど「誰が投函しても嫌がられるもの」に限定され、政治的表現物は対象となっていなかった。
 しかし、911同時多発テロ以降、「テロとの戦い」が強調される風潮の中、政府の政策に批判的な人々を法で取締るチャンスをうかがっていたフシがある。

 住居侵入罪にも共犯の適用はある。ということは、このビラを印刷し、頒布を「共謀」しただけでも処罰が理論的には可能になる。
 もちろん、政治の側に都合が良い存在ならば、「新しい歴史教科書を採択しろ」と要求するビラを取締ることはあるまい。

 先日、千葉七区の中傷ビラ問題でも述べたが、この国には一般の方々が思っているほど、表現の自由や政治的言論の自由があるわけではない。この掲示板によく、中国や韓国、北朝鮮の社会を「冷笑」する方々が投稿されるようだが、この国の権力者が望んでいることは、あそこまで露骨ではないにせよ、もっと「洗練」された形で大衆を操作することなのである。

 憲法に書いてあるとおり、民主主義は主権者の「不断の努力」で獲得するほかない。
by foresight1974 | 2006-04-29 07:31 | 正義の手続を考える

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