ヤマト運輸対郵政公社事件から見る「小泉改革の実質」

 以前、当ブログでご紹介したが、ヤマト運輸と郵政公社が独占禁止法をめぐり争っていた裁判の判決が出たのでフォローしておきたい。

 この事件は、ヤマト運輸が日本郵政公社を相手取り、コンビニエンスストア大手ローソンでの郵便小包「ゆうパック」の取り扱い差し止めを求めた訴訟で、東京地裁は1月19日、ヤマトの訴えを棄却する判決を下した。
 同事件で、ヤマト運輸は郵政公社が税金免除などの優遇措置に基づく不当廉売を行っていると主張していたが、東京地裁は「ヤマト運輸は小包料金の原価について具体的な主張、立証をしていない」と述べ、「独占事業の信書の収益などを活用し、原価割れの料金を設定した」とする同社の主張を否定。「独禁法では民業を圧迫するかどうかは考慮の対象外。郵政公社の新料金体系導入後もヤマト運輸は売上高や収益を増やしている」と指摘、不当廉売に当たらないと認定した。

 ヤマト運輸は「残念だが主張は変えない」とコメントしたが、その後、2月1日になって東京高裁に控訴したことが明らかとなった。
 しかし、東京地裁が述べているように、独禁法では郵政公社が民業を圧迫したかどうかの判断が困難である。今回の事件は、独禁法の限界と、その限界外で民業を圧迫する巨大公社の実質が露呈したことである。



 昨年、小泉純一郎の「郵政解散」なる喜劇に、多くの国民が賛意を示したが、その詐術が徐々に明らかになってきている。
 
 1月17日の読売新聞1面に「高速道の計画全線を建設…国交省方針」の文字が躍った。道路公団民営化が骨抜きになったことを象徴する結末だったが、ライブドア事件の陰に隠れて全くメディアの話題になっていない。

 郵政公社もいずれ同じ道をたどることになるのだろう。民業圧迫の実態を司法の場で明らかにできないまま焼け太りを続け、気がついたころには無敵の国策会社が誕生する。今は、ヤマト運輸や日通、佐川といった民間業者を打倒するために料金は下がっているが、いずれ無敵になった暁には、ユニバーサルサービスを盾に料金の引き上げを画策するだろう。もし、そうなったら止められる者は誰もいない。

 このていたらくで、小泉純一郎は歴史の教科書に大政治家であると書かれるのであろうか?  だとしたら、後世の歴史家たちの目は節穴であるといわねばならない。


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by foresight1974 | 2006-02-04 09:57 | フリー、そしてフェア・トレード

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