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foresightの憲法哲学(15)「非嫡出子の戸籍記載訴訟・最高裁判決批判」

非嫡出子の戸籍記載訴訟、夫婦側の敗訴確定
婚姻届を出さずに事実婚した東京都武蔵野市の夫婦と娘が「戸籍の続柄欄に嫡出子と非嫡出子を区別して記載するのは憲法違反」などとして、国に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は18日、請求を棄却した二審判決を支持し、夫婦側の上告を退ける決定をした。夫婦らの敗訴が確定した。
日本経済新聞電子版2005年11月18日


F:
全く無意味な判決であることをきちんと記しておきたい。
もし、この判決ニュースだけを読んで「日本ではこうした婚外子差別がまだ残っているんだなあ」と思われた方がいらっしゃるなら、それは間違いである。

なぜなら、同記事にもあるとおりすでにこの訴訟の一審判決後、法務省は戸籍法施行規則を改正し、非嫡出子と嫡出子の記載を同一のものに改めているからである。



いったい、最高裁判所は何のために「すでに改正された」規則を合憲だと判決したのだろうか。
法学的にはいろいろな意見を考えることは出来る。だが、それは一般の方には全く理解を得られるような理屈ではない。単に「法律って難しいんだなあ」という程度の同意しか得られまい。

かつて、「時代の半歩先を行くよう心がけた」と著書で述べた最高裁判所長官がいた。しかし、今や最高裁判所の人権感覚は、時代の2歩も3歩も遅れている。

戸籍の続柄記載ごときで法律婚を保護出来るなどと考えるとしたら、よほど能天気な判事だろう。世の中にシングルマザーや事実婚が普及している事態を食い止めることなど不可能である。
ライフスタイルの多様化は静かに、そして止められようもなく広がっているのである。もちろん、憲法を改正しても、その事態を止められるわけがない。合計特殊出生率の低下が深刻化するだけである。

夫婦別姓問題がこじれなければ、法務省は家族法(民法の親族・相続法)改正に、非嫡出子と嫡出子の相続差別の撤廃も盛り込んでいた。これなんかは下半身に節操のない自民党の自称保守政治家どももみんな賛成するんじゃないかと苦笑いしてしまう。

だが問題なのはそうした政治家どもの相続問題ではない。かつて、これらの規定にいずれも法律婚の保護の論理から合憲判決を下した最高裁判所の考え方が、社会から否定されつつあるという事実なのだ。

今後も、社会の進歩や変化に合わせることのない、先見性のない判決が下され続けるようであれば、それは司法の職務怠慢である。
by foresight1974 | 2005-11-19 13:47 | 憲法哲学

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