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イトマン事件最高裁決定雑感

 中堅商社の旧イトマン(大阪市、住金物産に吸収合併)から巨額の資金が流出した「イトマン事件」で、最高裁第3小法廷(浜田邦夫裁判長)は8日までに、商法の特別背任罪と法人税法違反(脱税)の罪に問われた元不動産管理会社代表、許永中被告(58)の上告を棄却する決定をした。決定は7日付。

 懲役7年6月、罰金5億円の1、2審判決が確定する。戦後最大級の経済犯罪といわれたイトマン事件の「主役」とされた許被告の裁判は逮捕から14年で終結する。

 事件ではイトマン元社長河村良彦(81)、元常務伊藤寿永光(60)の両被告が1、2審で有罪判決を受け上告中。イトマン役員でない許被告に「身分なき共犯」として特別背任罪が問えるかどうかが焦点だった。(共同通信)
(京都新聞2005年10月7日電子版より)




 「身分なき共犯」自体は、司法試験では典型論点といわれるもの。解けなければ合格する資格はないレベルの話なので、最高裁の結論の妥当性については今さら触れる必要はない。
 
 さて、90年代の中ごろ、都内の私立大学法学部で法律を学び始めた筆者が見た法曹界は、重苦しい経済不況の中にいた。実務や学界も「バブルの呪縛」の中でもがいていたころである。弁護士会ではバブル時代の不正にまつわる懲戒案件が山のように押し寄せ、裁判所は不気味なスピードで増加する破産事件に頭を抱えていた。そして、検察は精密司法の限界を思い知らされることになる。天文学的な金額が消えた経済事件を、何一つ抜本的に解明できなかったからだ。学界はいつも周回遅れだった。コーポレートガバナンスやアカウンタビリティについて学者たちが論文を発表するのは「ニューミレニアム」という言葉が聞こえてくるようになってからである。

 だから、イトマン事件など筆者にとっては「リアルな」経済事件ではない。大学の講義で習う「判例」の一つに過ぎず、仲間内でも関心が低かった。大学時代にそれほどこうした事件を興味を持って眺めたことはない。社会に出てはじめて、90年代に起きた大型経済事件とその悪の主役たちに、人間としても、ドラマとしても大変魅せられた。その一部は当ブログを立ち上げる前に、日記やメールマガジンなどでお話してきたが、いずれまた機会を改めて挑戦してみたいと思う。

 おそらく拘留期間中は刑期に算入されないので、許が出所するときは65を越える頃だろう。果たして、この事件の真相を彼に語る力が残っているだろうか?
by foresight1974 | 2005-10-08 21:51 | 正義の手続を考える

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