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村上「アレルギー」も「賛美」も脇において

 朝、電車の中吊り広告で文春のスッパ抜き記事を見た。「大胆だなぁ」と思ったが、午後に事態は急展開を見せた。
 阪神電鉄側が村上世彰から阪神タイガースの株式上場の提案を受けたことを公式に認めたのだ。今夜の「報道ステーション」で解説者の方も指摘されていたが、今後、村上は50%を目指して株式の取得を進めていくことになるだろう。

 株式市場の上場自体はプロスポーツビジネスでは合理性の高い経営選択である。確かに、親会社の阪神電鉄が上場しているのだから、子会社である阪神タイガースの市場価値は親会社を基準に考慮すれば済むことであり、上場自体に必然性はない。しかし、事実上親会社の本業自体が低レベルで安定期に入っている状態で、子会社の選手年棒が上昇し続けている以上、その資金を上場によって調達し、市場の判断の下に年棒を管理していこうという意図は合理的だ。
 阪神ファンの方には村上に対するアレルギーもあるだろうが(JEF千葉を彼が買ったら断じて筆者は容認しないだろう)、彼の人間性と彼の提案内容は一応区別して考えるべきだろう。

 しかし、である。



 筆者は彼らの言うことに手放しで賛成出来ない。というより、彼らの「ツラ」がとても気になるのだ。

 笑ってしまったのは、報道ステーションに流れた堀江のインタビューだ。「ほら、僕の言ったとおりじゃない?」としたり顔だったが、選手にストック・オプションを。。。というのはいかにも彼らならではの発想ではある。だが、意地悪に言えば、「株」を絡めてでしか選手の満足度を向上させる発想がないということでもある。
 村上は、他人のフンドシで株を売り買いしている人間の曲々しさが顔に出ているような気がしてならない。彼自身、金の出し手の求めるまま、勝負を続けていくしかないのだ。そういう意味では、悲しい性というべきかもしれない。

 そんな連中が、小学生の頃からバットを振り、どろんこになってボールを追いかけることが大好きでたまらない人間たちをうまくマネジメントしていけるとは筆者には思えないのである。

 確かに、諸外国でスポーツチームが株式市場に上場している例はある。だが、それはいずれもオーナーがチームをこよなく愛し、そして彼らが資本主義の中で冷徹な打算のもとになされているのである。どちらか片方ではないのである。

 ところでもう一つ、阪神タイガース上場に意外な壁が立ちはだかっている。私設応援団やチケット販売などで深く関わっている暴力団の存在だ。
 彼らを村上はどのようにして排除するのだろうか?巨人ですら排除出来ていないといわれている大きなダークゾーンを市場の論理だけで解決できるとは到底思えないのである。

 いずれにせよ、村上は勝負に出た。このニュースのフォローもしばらく続けていこうと思う。
by foresight1974 | 2005-10-05 22:30 | 企業統治の公共精神

真理を決定するものは、真理それ自体であり、それは歴史を通して、すなわち人類の長い経験を通して証明せられる。(藤林益三)


by foresight1974