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JR不採用訴訟と尼崎線列車脱線事故の間

 まだやっていたのか、というようなニュースだった。
 JR発足時に労働組合員が大量に不採用となった問題で、東京地裁は昨日、JRへの採用差別があったことを認定して慰謝料の支払いを命じたのだ。

 JR発足から18年。なぜ今もこの問題が争われているのだろうか?

 



 その背景に、9月15日付毎日新聞では当初問題の審理にあたった中央労働委員会と裁判所の判断のねじれをあげている。
 中央労働委員会とは、労働組合法19条2項に定められた独立行政委員会(司法的機能を持つ行政組織)である。主に労働者や労働組合が申し立てた不当労働行為を審査し、判定する権限を持っている(労働組合法5条・20条など)。しかし、ここで下される判断は絶対的なものではなく、不服がある場合は行政事件訴訟法に定められた取消訴訟を提起することが出来る。
 毎日新聞によれば、1993年のJR北海道の採用差別問題を皮切りに96年にかけて、中央労働委員会がJR側の採用差別について不当労働行為を認定し、一部に救済命令を出している。ところが、その後の行政訴訟で裁判所はJRの責任を否定し、処分を取消していた。

 それだけではない。、この事件は、国鉄分割・民営化に伴う採用問題という労働問題という側面のほかに、強力な左翼系労働組合であった国労・動労の解体という政治的側面も持っていた。だから、政府や国鉄清算事業団側は、絶対にJRへの復職を認めない。彼らが死に絶えるまで徹底的に争うことになるだろう。

 今回の判決は再び司法判断も組合側に大きく揺れたことを示している。だが、組合員たちが求めている雇用関係の存在は認定せず、解雇自体は法的に有効であると判断した。

 国鉄民営化は合理化の成功例と言われた。しかし、激しい組合攻撃が労働者の地位の弱体化を招き、JR尼崎線列車脱線事故の遠因になったことは記憶に新しい。

 従来の司法判断は、上記のような政治的事情に相当な配慮を示していた。だが、問題は労働組合=左翼の味方という単純なものではない。行き過ぎた労働組合の弱体化がJR社員の過酷な労働環境につながっている以上、この問題の解決のために、司法判断をより積極的に見直すべき時期に来ているように思う。
by foresight1974 | 2005-09-16 23:00 | 働く人々の「権利」を考える

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