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「MSNチャット」サービス終了によせて(By foresight1974)

マイクロソフトのポータルサイト「MSN」は3月10日、チャットサービス「MSNチャット」を5月9日で終了すると発表した。

(2005年3月10日 ITmediaニュースより)






 1995年にウィンドウズ95が爆発的なヒットを飛ばしインターネット時代の幕開けを告げてから10年、このニュースに感慨深い方もいらっしゃるかと思う。
 当時、大学生の私はインターネットとかメールとか何がなにやらさっぱり分からない人間であった。私がPCを購入し本格的にインターネットに参加するようになったのは、99年ごろからだが、その時ですら、「インターネットが新しいソーシャル・ネットワークを拓いていく」という牧歌的で楽観的な見通しが巷に溢れていた。だから、95年当時のネチズン達が新しいネットワーク社会にどれだけ期待を膨らませていたか、想像に難くない。

 95年当時、彼らの「期待」のツールは「ホームページ」「掲示板」そして「チャット」であった。初心者には管理や更新などの面でハードルが高い前2者に対して、簡単な登録だけですぐ他のネット参加者とコミュニケーションが取れるチャットは、敷居の低さという点で優位に立っていた。
 その中で、ユーザーフレンドリーな操作性の高さと、接続の快適性の良さで他を圧倒したのが、マイクロソフトの「MSNチャット」だった。一気に100万人まで登録者を伸ばした背景には、知名度もさることながら、他のISPユーザーも無料で登録出来るなど、幅広くネットユーザーを集める戦略が成功したことにある。(他のISPが運営していたチャットルームは、会員専用であったり、他のISPユーザーが登録するには有料である場合もあった)

 99年に私がネットに参加すると、すでにMSNは誰でも知っているメジャーなコミュニケーションサイトとして成立しており、初心者の私もガイドブックをみながら、ログインしたのである。
 しかし、最初は期待感と不思議な感覚が同居した。画面の向こうで誰かが同じようにPCに向かい合い、おそらくは同じように華麗なブラインドタッチで文字を打ち込んでいることを、ちょっと想像することが難しかった。でも、慣れてくると、自分がネットに参加しなければ決して会うことが無かった人々と交流することが楽しくて、毎晩PCに向かったものである。

 しかし、世間はチャットやホームページを通じた出会いについて厳しい視線を向けるようになった。一部の者による性の売買行為が行われたり、またそれをエサにした凶悪事件が相次ぎ、人々は、「そもそもの場所」を提供している運営会社側に厳しい自主規制を求めるようになった。MSNの公式発表によれば、チャットサービス終了はこうした事情とは無縁ではないことが伺われる。確かに、無料で100万人に提供するチャット上で個々の参加者のいかがわしい動機を阻止することは非常に困難であるし、またコストも非常にかかる。ビジネスベースに乗らないことは容易に想像できる。

 しかし、最大の理由は他にあるように思う。
 政治系サイトやチャットを7年渡り歩いた私の経験から言わせると、MSNチャットは裾野が広かった反面、例えば政治の話題で盛り上がれる場などの「マニアが居付きやすい場所」を提供しきれなかったのではないだろうか。
 例えば、政治部屋の場合、私がネットに参加しはじめた99年当時、ログインしても参加者のほとんどは全く関係のない雑談に興じており、「カテゴリーにふさわしい話」をしようという共通認識が自主的に形成されることはほとんど無かった。私が政治的な話題を仕掛けるには、参加者たちと打ち解け、話の流れを見極めて、という非常に日本人的な空気の読み方で振っていくほかなかったのである。それですら、他の雑談や猥談の類に流されることがしばしばであった。
 そういうわけで、私が政治関係の話題にはいっていく場所を他に求めるまでに、そうは時間はかからなかった。今は閉鎖された(現在、別の管理人の方が他のサイトで復活させているようだ)が、その名も「政治討論」という掲示板サイトに流れ着き、そこで2年の「修行」を通じた後、常連の言動に飽きて新しいサイトを探してヤフーチャットに行き着いたのである。
 その後、「ウヨクを怒らせることにかけては天下一品」という、履歴書の特技欄にとても載せられないようなお褒めをいただく「活躍」をすることになる。

 ヤフーチャット政治部屋の政治話に没頭するようになると、MSNチャットは完全に私の中では「忘れられた存在」となった。MSN側は認めないだろうが、ネット上の政治言論では、MSNチャットでの動きが認識されることはここ数年ほとんどなかった。MSN政治部屋、ニュースルームは参加者がゼロで、しかも一日を通じて参加者がほとんどいなかった。

 それに対し、ヤフーチャット政治部屋は、大局的に見てここまで順調に成長してきた、2000年からの「新しい歴史教科書問題」、2001年の小泉政権誕生とその年に発生したアメリカ同時多発テロ事件を契機に、ネット言論は一気に「政治の季節」に突入した。その動きには良いことも悪いこともあるが、この時代に居合わせることになった「現場証人」たちの知的吐き出し口としてヤフーチャットは大きな役割を果たしている。

 しかし、ブログが登場しネット言論ツールに新しい地平が開かれつつある今、一過性で議論のループ現象が顕著なヤフーチャットが同じ地位を占められる保証はどこにもない。
by foresight1974 | 2005-03-12 16:56 | ブロガーたちの人生

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