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ヤマト運輸対日本郵政公社事件をどう見るべきか(By foresight1974)

 前回のブログにおいて、この問題の本質的問題については争われることは無いだろう、と述べた。
 それは、すでに多くの識者が論じているように税金を免除されている郵政公社がその分安いコストで宅配便事業を展開して他の民間会社を圧迫する、というだけの問題ではない。なぜなら、それだけの問題ならば野木教授が指摘したように、独占禁止法上の法解釈という議論で事は足りるはずである。



 だが、実際には日本郵政公社が国営事業として与えられてきた様々な特権を国民はいわゆる「見えざるコスト」として負担している。そうしたコストは、かつてはユニバーサルサービス(全国一律の同じサービスを提供すること)という言葉で正当化されてきたものである。

 そして、ヤマト運輸が偶然にも同じようなサービス路線を拡大していることは印象的である。ヤマト運輸は来年にも宅配便取り扱い箇所を5000箇所にする計画だという。同業他社の佐川急便が500箇所以下であることとは対照的である。

 郵便局と遜色の無いネットワークを構築して、あくまで郵便事業・宅配便事業で「官業」と徹底的に対峙しようとするヤマト運輸の路線は、商業ベースの議論を超えて、何らかの社会的意義を見出すことが出来る。

 つまり、この事件の構図は単に、日本郵政公社が自らに与えられた特権を武器に民間会社であるヤマト運輸を圧迫しているというものではない。今の規制緩和や郵政民営化が、真に「改革」と言うに値するものかどうか。そして、その「改革」というものが国民へのサービス向上という福利をもたらしうるものかどうかということを、ヤマト運輸は図らずも身をもって示そうとしている、そういう問いかけでもある。

 そして、かつて同じような「規制」との戦いを激しく展開してきた企業があった。最近、経済紙面を賑わせ続けているダイエーである。ダイエーが「規制」という敵が消失したと同時に自らの社会的存在基盤の崩壊が始まったのと同じ道をヤマト運輸は辿るのだろうか。それとも、賢明にも新しい道を見出すことが出来るのだろうか。
 もちろん、それは法律論という範疇で語られるべきことではないけれども。
by foresight1974 | 2004-10-06 00:05 | フリー、そしてフェア・トレード

真理を決定するものは、真理それ自体であり、それは歴史を通して、すなわち人類の長い経験を通して証明せられる。(藤林益三)


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