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 今回取り上げる用語は、ドラマ最終回で使われた「EBO(Employee Buy-out)」だ。
 正確な解説は、NHKドラマ「ハゲタカ」HPをご参照いただきたい。日本でもこうした買収は広まってきているが、純粋なEBOではない。
 経営陣による企業買収であるMBO(Management Buy-Out)と、従業員へのストック・オプションを組み合わせたMBEOとよばれる形態がほとんどだ。

 ここでは、EBO(MBEO)が破綻企業の従業員を救済する「救世主」になりうるか?について考えていたい。

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by foresight1974 | 2007-08-25 16:43 | 企業統治の公共精神
※2月に放送されたNHKドラマ「ハゲタカ」の再放送に合わせて再編集しました。

 ここでは、第5回までの放送で語られていないこと、描かれていないことを中心に話してみたい。
 ドラマでは、ハイパークリエーションの西野が、大空電機を巡る買収合戦にホワイト・ナイトとして現れ、ホライズンの鷲津との戦いで勝利まであと一歩に迫りながら、東京地検特捜部にインサイダー取引で潰されていく経緯が描かれている。
 ドラマをご覧になった方のほとんどは、ライブドア事件と二重写しになったであろうが、いずれの事件も、インサイダー取引の「首謀者」が逮捕されただけで、その周辺に群がった魑魅魍魎が一網打尽にされたわけではないことは、共通している。

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by foresight1974 | 2007-08-24 21:18 | 書評・鑑賞
※2月に放送されたNHKドラマ「ハゲタカ」の再放送に合わせて再編集しました。

 第4回からは、総合電機メーカー・大空電機の再生を巡る攻防に移る。
 さて、2月~3月に「ハゲタカ」全6回の放送を見終わった後、大空電機は何がモデルだったのだろうか。と、思いをめぐらせていた。
 しかし、特にこれ、といった企業を特定できない。
 それは、どの企業にも当てはまることがない、という意味ではない。むしろ逆に、いろいろな企業に思い当たり、どの企業だかさっぱり分からない、という感じだ。
 それだけ、大空電機という企業は、極めて日本的で、「本音と建前」が都合よく使い分けられ、それゆえに自らの力で再生することができなかった、バブル後にありふれた日本企業の一つといえた。
 例えば、大空電機会長・大木昇三郎の「企業は人なり」という言葉である。第4回は、この言葉の両側面を見事に描き出している。

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by foresight1974 | 2007-08-22 23:26 | 書評・鑑賞
※2月に放送されたNHKドラマ「ハゲタカ」の再放送に合わせて再編集しました。

 今回取り上げる用語は、「民事再生法」だ。
 やや込み入っているので、このドラマに沿って法律を解説する。
 
 経営が傾いていたサンデートイズ社では、取締役会において、代表取締役・社長の大河内瑞恵(冨士眞奈美)が解任され(ただし、商法上の規定により取締役として残っている)、息子の大河内伸彰(小林正寛)が社長に就任した。
 ここで、伸彰ら新経営陣は、民事再生法の適用を裁判所に申請する。2000年4月に施行された同法は、従来、法的手続きの主役であった会社更生法と異なり、現経営陣が退陣することなく、経営再建を図ることが可能な法律である。
 現経営陣が退陣しない、というのは無責任に見えるかもしれないが、補論(1)で触れたように、経営が行き詰った経営者にはさまざまなしがらみや責任がのしかかっている。もし、この法律がなければ、経営者はそれこそ「破滅」に至るまで、経営を投げ出さずに暴走を続けることになりかねない。そこで、まずは現実的な処方策で、彼らの身分を保障し、かつ法的公正さを担保した形での再建アプローチが必要とされるのである。
 また、裁判所の監督の下、公正な形で進められることになる。このとき選任されるのが監督委員で、今回、鷲津や芝野が紙片を持って、金額を提示された人たちである。通常、企業再生を専門とする弁護士が選任されることが多い。彼らは、会社のスポンサーとなる者に、会社の営業に必要な財産を譲渡する権限を持っている(民事再生法56条により、裁判所が職権で権限を付与している)。
 NHKのHPにも解説があるとおり、多くの場合、プレパッケージと呼ばれる方式により事前にスポンサーが選定されるが、ドラマのように入札による譲渡も行われる。前者の例で再建が行われた例はJリーグ・ヴィッセル神戸事件で、後者の例は、マイカル事件が有名である。
 しかし、惜しまれるのはこうした法律が使えるようになったのは2000年(平成12年)からなのである。(小規模個人再生については2001年)

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by foresight1974 | 2007-08-22 22:44 | 書評・鑑賞
※2月に放送されたNHKドラマ「ハゲタカ」の再放送に合わせて再編集しました。

 今回取り上げるのは、「ゴールデン・パラシュート」という用語だ。
 もともとは、敵対的買収の主要な防衛策の一つで、敵対的買収の対象とされた企業の経営陣が退陣する代わりに巨額の退職金を受け取る条項をさす。NHKドラマ「ハゲタカ」公式サイトに非常に正確な解説があるので、詳細はそちらをご参照いただきたいが、ここでは経済的合理性とは異なる、別の側面からこの言葉を論じてみたい。
 それは、第1回の西乃屋旅館との対比で明らかになる、「法の下の巨大な不平等」だ。

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by foresight1974 | 2007-08-20 23:12 | 書評・鑑賞
※2月に放送されたNHKドラマ「ハゲタカ」の再放送に合わせて再編集しました。

 今日取り上げるのはNHK土曜ドラマ「ハゲタカ」で、悲劇的な最期を遂げた西乃屋旅館経営者・西野昭平だ。
 苦悩する旅館経営者を壮絶に演じきった人物が、宇崎竜堂だと気がつかなかった人も多いのではないだろうか?音楽通の妻も、言われて初めて気がついてびっくりのけぞっていたのには痛快であった。
 ところで、不良債権として売り飛ばされ、何もかもを奪われてしまった西野は、なぜ最期まで「プライド」を捨てられなかったのだろうか?
 その答えは、不動産担保を中心とした貸し出しシステムと、連帯保証人制度である。

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by foresight1974 | 2007-08-19 23:15 | 書評・鑑賞
 9月に召集されると予想される臨時国会の最大の論争点が、テロ対策特措法の延長問題であることは疑いないであろう。

 2002年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロに対して、日本が、アメリカの対テロ軍事行動を支援するための法律である。実際には、米国のアフガニスタン報復攻撃の後方支援に当たっている。
 11月1日に期限が切れる予定だが、過去4回延長がされている。政府・与党は延長を主張しているが、過去4回反対してきた野党は、参議院で否決する構えを見せている。

 この法律の延長の妥当性については機会を改めて述べることにして、今回は、テロ特措法延長問題を考える意義について記しておきたい。

 この問題が持ち上がったとき、頭に浮かんだ論文がある。慶應義塾大学助教授・小熊英二「対話の回路」の中に収録されている論文「戦後日本のナショナリズム・スパイラル」だ。

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by foresight1974 | 2007-08-18 21:59 | 9条問題
 昨日、久しぶりにヤフーチャットに参加し、懐かしい常連の皆さんとチャットしながら、NHK「日本の、これから」を見てました。
 この番組、第1回放送はあまりのグダグダぶりに、長くシリーズ化されることはあるまいと踏んでいたのですが。三宅さん、仕切りがかなり手馴れてきましたね。テーマによっては非常に見応えのあるものになっていて、最近の放送は必ずチェックしています。

 昨日は、市民参加型討論番組の最大のタブー・憲法9条についに切り込みました。
 そして、結果は第1回に逆戻りしたような散々なものに。。。

 番組を見ながら、チャットの常連たちと語らいました。

「いやー、改憲派はとんだDQNばっかりだな。」
「つーか、夢を見てばっかりじゃね?」
「しょーがないよ、みんな夢があるんだもの。。。」
「確かにねぇ。。。」

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by foresight1974 | 2007-08-16 22:37 | サイレント政治・社会評論
ラーダービノード・パール
 A級戦犯を裁いた東京裁判(極東国際軍事裁判)において、被告人全員の無罪を主張したインド人判事。
 9人の判事が構成した多数意見に対し、個別意見(一般にはパール判決書と呼ばれる)において、東京裁判が依拠した「平和に対する罪」「人道に対する罪」が事後法であるとしたうえで、訴因とされた被告人全員の共同謀議が成立しないと主張した。
 しかし、彼がなぜこのような結論に至ったのか、正確に分析された書物はほとんど存在しなかった。1400頁に及ぶ個別意見書は難解であり、そのロジックがほとんど紹介されなかったうえ、後年、パールを偶像崇拝する保守派によって、主張が捻じ曲げられたからだ。

 ヒンドゥー・ナショナリズム研究で期待されている若手研究者、北海道大学准教授・中島岳史が著した「パール判事・東京裁判批判と絶対平和主義」(白水社)は、非暴力主義・絶対平和主義者(ガンジー主義者)であり、世界連邦建設運動の中心的人物でもあったパールの生涯を正確に追い、田中正明、小林よしのりらの右派によるご都合主義的「日本無罪論」=パール論の主張の欺瞞性を暴いた好著である。

 本作品は、パールと下中彌三郎を記念した建てられた、パール下中記念館の衝撃的な記述から始まる。

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 掃除やメンテナンスがなされた形跡は全くなく、ショーケースや手すりは、すっかり埃をかぶっている。証明は壊れ、床には落ち葉がたまっている。全体的にかび臭く、隙間風は冷たい。
 見学する人はほとんどいないのであろう。展示品は手入れされず、ひどく痛んでいる。写真にはカビが生え、展示プレートは剥がれ落ちている。
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 これが、靖国神社に顕彰碑まで建てられている人物が、政治的に利用されつくした末路である。

 パールの生涯は、非カーストで貧しい生い立ちからの立身出世となるまで。そして、法学者としての地位が確立し、東京裁判を経て、妥協なきガンジー主義者として、その理想を説いて回る後半で構成されている。

 作品の最大の山場である、パール個別意見に関する記述には驚かされる。著者の過去の作品は、主に文化的・社会学的な研究が多く、法学的研究がほとんどみられないが、法律用語も正確に用いられており、パールのロジックが要領よく、しかも完璧に再現されている。

 作品のテーマがパールの生涯自体に当てられているため、残念なことに、この個別意見がなぜ、保守派の賞賛に浴することになったのか、その経緯は今ひとつ明らかではない。
 リベラル派の研究者の多くが指摘している通り、パールは被告人全員を無罪とする一方、日本の戦争責任には容赦のない批判を浴びせている。南京大虐殺については「証拠は圧倒的に存在する」とし、その他の残虐行為を20以上指摘したうえで、「鬼畜の性格を持っている」と断じた。そのうえで通例の戦争犯罪の実行行為者に対する処罰は「正当である」とすら述べているのである。パールが東京裁判で問題にしたのは、あくまで行為当時、戦争指導者を法的に処罰することが可能かどうかであり、その点で被告人全員の無罪を主張していたに過ぎない。「日本無罪論」では断じてないのである。
 だが、松井石根、板垣征四郎、東条英機らの不興を買いそうな表現が多々見られるにも関わらず、彼らは狂喜し、時世の歌によみ、刑場の露と消えたのである。

 パールはその後、3度来日し、その度に自己のガンジー主義を強く訴えている。再軍備に反対し、平和憲法を擁護し、アメリカからの真の独立を、それこそ何度も説いて回ったのである。
 だが、非暴力主義を捨てた母国と同じく、冷戦の激化とともに日本は再軍備。そして対米従属路線を深め、パールは裏切られていく。世界連邦建設メンバーであった田中は、「日本無罪論」の中で、パールが戦時中日本を批判した部分のほとんどを削除した。政治姿勢に共感し、「首相になればいい」とまで言った岸信介は、安保改定を推し進めていく。
 
 パール晩年の主要な演説である「無言の演説」。病をおして、500人以上の聴衆の前で無言で合掌し続けた姿勢は大きな感動を呼び、後年保守派が偶像崇拝するうえでのエピソードの一つとなった。
 だが、その後の取材に応えたパールは悲観的だ。「国の最高方針決定者たちは、国家民族の運命を、あいも変わらず残酷にもてあそんでいるのです」「広島と長崎の原爆投下は、ただ不吉な破壊の日を迎え入れたに過ぎないかに見えます」―。
 ガンジー主義者としての妥協なき生涯の終わり。「長いものに巻かれていく日本」に対する諦観があったというのは、言いすぎだろうか。

 田中正明はパールの死後も、東条英機を悲劇の主人公として描かれ、自らも企画に参加した映画「プライド」の制作において、パール判決書を都合よく利用している。
 だが、これに激怒した息子のプロサント・パールは抗議の記事を地元紙に掲載。インド社会に大きなショックを与えた。

 このパールの子孫たちに、今度、参議院選挙で大敗したショック覚めやらぬ総理大臣・安倍晋三が面会するという。祖父の岸信介が首相であったとき、勲章をパールに授与した縁があってのことであろう。「美しい国」の総理大臣と、ガンジー主義者の子孫たちのやりとりは見物である。

※パールの名前は、中島の著作にならって表記した。
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by foresight1974 | 2007-08-15 23:34 | 書評・鑑賞
 3、リベラリズム

 さて、もう一つ、今回の参院選の特徴を指摘しておきたい。
 それは、医師会や建設、農水土木などの組織候補が軒並み苦戦したという現象である。かつては100万票近くを集め、自民党が選挙で常勝するための強固な支持基盤であった組織が崩壊の危機に瀕している。
 他方、民主党の労組系候補は堅調な戦いぶりであり、いわゆる従来の組織系候補の没落といった分析には距離をおいておく必要がある。

 そして、(前編)でも触れたように、今回の選挙において有権者が最も重視したのは年金問題である。本来、こうして選挙の争点が単純化されることは民主主義社会にとって好ましいことではないが、前回の衆院選が構造改革路線の象徴的課題であった郵政民営化が争点であったように、今回の参院選の年金問題は、富の分配に関する重要問題であり、いずれも国政の重要問題であったことはことわっておかなければならない。

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by foresight1974 | 2007-08-12 11:52 | サイレント政治・社会評論

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