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 私は忙しい人が好きである。
 以前、友人とも話題になったが、忙しいときほどブログや日記の書く「ネタ」というものは増える気がする。忙しく働き、考えているときは、社会からいろいろな「刺激」を受けているときだからだろうと思っている。

 上田勝さんも大変にお忙しいらしい。
 当ブログのリンクに張られている「日々是上田わ~るど」の中身は、「政治討論」時代からの上田さんの鋭い洞察力を広い視野、展開力のあるロジックが依然として健在であることを示している。
 しかし、この記事だけはどうも気に入らない。
 1月31日に掲載された「天皇陛下の靖国参拝」である。
 そして、私の気難しい性格はささいなことでも気に入らないことがあれば口を挟まずにはいられないのである。

 残念なことに上田さんはブログを書かれていない。TBできないのは大変不便であるが、後でメールにてご連絡差し上げたい。

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by foresight1974 | 2006-02-28 00:07 | サイレント政治・社会評論
住友信託銀、旧UFJとの訴訟で控訴 請求額は大幅減額(朝日新聞2006年2月24日)

 住友信託銀行が、信託部門売却の基本合意を守らなかったとして旧UFJホールディングス(現三菱UFJフィナンシャル・グループ)を訴えていた損害賠償請求訴訟で、住信は24日、請求を棄却した一審判決を不服として東京高裁に控訴した。

 損害の請求額は一審の1000億円から100億円に減額した。統合が実現すれば得られたはずの「逸失利益」の請求を取り下げ、統合の最終契約が結べると期待した「期待利益」を侵害されたことによる損害に改めた。

 一審判決は、旧UFJ側に最終契約を結ぶ義務があったとはいえないとして、逸失利益を求めた住信の請求を全面棄却した。一方、旧UFJは基本合意書に基づく独占交渉義務に違反したとして、期待される利益が損害を受けたことに言及したが、住信側が立証しなかったことを理由に賠償を認めなかった。


 全く理解に苦しむ控訴である。
 逸失利益と期待利益の違いは、「実際に統合した場合の事業効果」に関する賠償額が含まれるかどうかという点である。前者は含まれ、後者は含まれない。
 M&Aの基本合意書は、本格的な合併交渉の前に締結される契約書で、1次デュー・デリジェンス(買収先の監査)が行われた後、M&Aの基本スキーム(株式交換や合併などの法律上の事業統合方法)や、合併のスケジュール、独占交渉権に関する条項、違約金、場合によっては統合後の持株比率などを定める。
 一般的には抽象的なものにとどまることが多く、基本合意書を破って第三者と新たに統合交渉に入っても違法とはいえない。ただ、独占交渉権や違約金などが定められている場合、契約違反による損害賠償責任が発生する。
 金融機関のM&Aには、通常多額の費用をかけたデュー・デリジェンス必要となる。上記記事にある請求額は、個人的に妥当かやや少ないレベルではないかと感じている。
 今回の一審判決は今月13日に言い渡された。そこで、逸失利益ではなく期待利益による賠償請求は認められるとしながら、何と、「原告側の主張・立証がない」ということを理由に棄却したのである。これも珍しい判決である。
 弁論主義が適用される民事訴訟においては、通常、原告側が主張していない事実に基づいて裁判所が判決を下すことは許されない。つまり、旧UFJ側に賠償責任があると裁判所が考えていても、その旨の主張を住信側が行わなければ裁判で負けてしまうのである。
 通常考えられないミスだといっていい。

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by foresight1974 | 2006-02-26 10:12 | 企業統治の公共精神
 日本最大級のSNSのmixiに参加して1週間になる。
 存在は知っていたが、実のところあまり関心もなく、気乗りもしていなかた。しかし、Yahoo Chatで知り合った同志「wakadannna」氏の執拗な誘いに、「しぶしぶと」参加した次第です。
 ええ、こんな私にも「同志のつきあい」というものがあります。

 1週間やってみて、正直かなりがっかりしている。

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by foresight1974 | 2006-02-25 20:27 | ブロガーたちの人生
 地下鉄サリン事件などで殺人罪などに問われ、一審で死刑判決を受けたオウム真理教元代表、松本智津夫被告(麻原彰晃、50)の精神鑑定を進めていた精神科医は20日午前、鑑定結果をまとめた。同日午後に東京高裁(須田賢裁判長)に届けられた。鑑定結果は「訴訟能力は失われていない」という内容で、同高裁はこの結果を尊重し、近く「被告に訴訟能力がある」との結論を下す見通しだ。
日本経済新聞朝刊2006年2月21日


 実に無意味で、何の成果もない出来レースの精神鑑定が終わり、いよいよ弁護団は追い詰められた。
 接見に現われない被告人を待つこと半年以上、38回目で現われた被告人は、自らオムツをはずすこともできない、もはや異常宗教団体の指導者ではなかった。それでも裁判所は、その被告人と打ち合わせをし、控訴趣意書を提出せよというのだ。
 こんな人物に判決を下したところで、いったい誰が救われるというのか?

 一審で組み立てられた詳細な事実認定に基づき、麻原を死刑にするなど、赤子の手をひねるより簡単なことである。
 しかしそれは、人や罪を裁いたことにならない。
 新聞報道や世論で裁判の行方を決めるならば、独立した司法権など必要ない。立憲民主主義など恥ずかしくて口にする資格もない。
 今必要なことは、弁護団を擁護し、鑑定意見を述べる精神科医を世論の圧力から守ることである。それでこそ、「公平な裁判」が実現するのである。

 しかし、肝心のマスコミの中に、実態を知りながら弁護団への誹謗中傷を生き甲斐にする、腐った輩が蔓延っている。
 弁護側立証までの時間稼ぎや控訴趣意書提出までの鑑定要求など、通常の刑事裁判ならいずれも正当な行為として問題にされないこれらの防御行為にことごとくケチをつけ、あたかも「弁護団の不当な裁判引き伸ばしをしている」ように「捏造」報道を繰り返した産経新聞や読売新聞。
 安っぽい正義感で被告人の人権保障という刑事裁判の鉄則を蹂躙した結果は甚大だった。
 一審判決後、日弁連幹部が奔走して受任してもらった弁護士は全員辞任。新たに選任された弁護団も、他に多くの事件を抱えながら、孤独で絶望的な戦いを続けている。

 「裁きの結果」責任を全く問われることのない、正義屋稼業のマスコミ諸氏に問いたい。
 おまえはここまでやって、まだ不満なのかと。
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by foresight1974 | 2006-02-21 22:09 | 正義の手続を考える
1月14日の「人のことを笑えるのか!?「ES細胞捏造報道」と「イラク人質事件」」について、通りすがり氏から、何度か貴重なご意見を頂戴した。

記事の内容と離れている箇所もあるので、改めて論じておきたい。

通りすがり氏は、「資源も十分ではない」我が国が、他国より優位な立場に立つために、自国の文化に誇りを持ち、愛国心をもってこれを守らなければならない、と再三指摘している。

しかし、日本の過去の歴史を考えてみた場合、愛国心や自国文化への誇りが、現在の経済的繁栄や社会の成熟と因果関係をもったことはない。江戸時代の歴史をみるまでもなく、文化が繁栄したときは、常に経済的繁栄や社会的モラルの低下とセットであり、自国文化に対する誇りというのは、要するに後知恵だというほかない。衣食住が足りなければ礼節は問われないのである。

また、天皇制についても疑問がある。日本の過去の歴史では戦国時代のように、ほとんど「捨て置かれていた」時代もあるわけであり、決して厚遇されてきた歴史とはいえない。その大半は、天皇の側近たちに利用され、翻弄されてきたわけであり、明治時代においても尾崎行雄の演説を引くまでもなく、君側の奸がしばしばその虎の威を借りてきたわけである。
また、戦後GHQが天皇制を存続されたのは冷戦初期の国際情勢にからむ極めて政治的な判断によることはすでに広く知られている。マッカーサーの写真を例に引くまでもなく、GHQ指導層が重視したのは、天皇の利用価値であり、そこに当時の日本国政府との妥協が成立したに過ぎない。
今日まで天皇制が存続したのは、私は単なる偶然だと考えている。世界史をみても、何千年も同一王朝が存続した国家はない。そういう意味で、天皇制も今後、日本の国際的地位の低下とセットで、政治的不安定さが増してくると思われる。

その前に、政治的混乱を避けるため、天皇制を日本の統治機構からお引取り願うのが、彼らにとっても最も幸福な政治的引退の道だといえる。
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by foresight1974 | 2006-02-11 23:42 | サイレント政治・社会評論
 当ブログの前進である「foresightの未来予想図」でも取り上げたが、昨日、戦時下最大の言論弾圧事件である「横浜事件」で、治安維持法違反で有罪が確定した元被告に対する再審(裁判のやり直し)の判決が下った。
 免訴という灰色決着であった。

 免訴とは、刑の廃止や大赦(恩赦の一種)などで裁判を続ける意味がなくなった場合になどに、裁判を打ち切って言い渡す形式的判決である。事件の内容に踏み込まないため、元被告らにかぶせられた罪が「冤罪だった」と認定されることはなかった。
 (中略)
 再審を決めた東京高裁の抗告審決定は、元被告らの自白は拷問によるものだったと認定、「無罪を言い渡すべき新証拠がある」と判断していた。
(朝日新聞朝刊2006年2月10日)


 上記報道によれば、判決を下した横浜地裁は「刑事訴訟法は免訴でも無罪と同じような補償を認めている」と指摘している。だが、すでに他界している被告らが求めていたことは経済的な補償ではない。このような反駁は司法試験受験生が論文試験で書けば済むことである。
 被告らが求めていたこと、何より「あの裁判は間違っていた」という司法の贖罪なのである。戦時下の言論弾圧に協力したという罪と正面から向き合うということである。

 裁判所は司法機関としての役割をわきまえつつも、時代の背景と向き合わなければならない。持ち込まれた事件の社会背景や時代の流れを見極めつつ、法律家として書くべきこと、論じるべきことを発見する作業なのである。
 そうした意味では、今回の判決は、司法試験受験生の優秀答案ではあっても、実務家の優れた判決とは言い難い内容であった。

参考:
横浜事件再審決定雑感(2003年4月16日)
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by foresight1974 | 2006-02-10 23:00 | 正義の手続を考える
 2月10日の日経朝刊で、与党が入札談合に関与した公務員に5年以下の懲役刑を課す官製談合防止法改正案をまとめた、と報じられた。

 しかし、実質的にみると談合とは官僚と入札業者の共謀による税金の詐取であり、その量刑は、本来は刑法の詐欺罪と同列に論じられ、10年以下の懲役刑とするのが妥当であろう。
 5年以下の懲役刑というと、刑法の背任罪と同じ量刑である。立法者の意思としては、公正な入札業務という公務員の任務に違背したという点で、違法性の重さが背任と同列と考えているのだろうが、官製談合とは、公務員という地位のある者のみが犯しうる身分犯であることを看過しており、その分の量刑の加重がなされていない。また、商法・会社法では会社役員の背任罪は7年以下となっている。同列に論じられる犯罪につき、民間より公務員の方が甘く量刑が設定されていることは明らかである。

 談合は、そのほとんどが官製談合であることを考え合わせると、まだまだこの程度の「改正」では生ぬるいというべきであろう。
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by foresight1974 | 2006-02-10 23:00 | フリー、そしてフェア・トレード
 栃木県鹿沼市環境対策部の職員が、2001年廃棄物行政をめぐる不当要求を拒否して殺害された事件に関し、殺人の罪に問われた被告の上告に対し、最高裁は8日棄却する決定を下した。
 これにより、被告の無期懲役が確定した。
 行政機関に対する不当要求という問題が、初めて大きくクローズアップされた犯罪で、上司や市議会などの協力を得られず、孤立無援で戦った公務員の悲劇であった。

 あれから5年。昨年の10月、警察庁の発表によれば、行政機関に対する暴力団等の不当要求に応じた例は、51機関。要求を受けた機関の8%にのぼったという。

 様々なしがらみに負けず公務員の清廉さを守る、無名の公務員が数多くいる一方で、談合や建築物構造計算書の偽造がまかり通る日本社会。
 亡くなられた職員氏も草葉の陰で嘆かれておられるであろう。
 だが、遺志を継いだ遺族はまだ戦い続けている。昨年末、遺族は鹿沼市と事件の実行犯らを相手に損害賠償を提起している。
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by foresight1974 | 2006-02-09 23:00 | サイレント政治・社会評論
日本経済新聞社の関連会社・ディスコが運営している人材採用情報サイト「DISCO HR-Plaza」に法政大学教授・佐野哲(社会学)が面白い論考を寄せいていたのでご紹介したい。

労働市場自由化政策の背景にあるもの」は、小泉純一郎にいう「自称景気回復」の中で、労働者の環境を自由化の名の下に切り下げられていく実態を説明している。

前置きは長いが、城山三郎の有名な小説「官僚たちの夏」を引き合いに出した「かつての通産省にあったような「良い対立」が、労働市場政策を企画立案する現場に果たして存在したのかどうか?」という問いは、今の理念なき労働市場自由化政策の問題点を的確に指摘している。
この問いに対する答えは、「ない」が正解だからである。
その後の論考については、これまで様々な論者が言い尽くしてきたことであり、目新しさはないが、改めてこの問題に対する適切な視座を与えている。

労働者の切実な利害を代表していない組合側と、経済再生という圧倒的大義名分がある経済界。そして、どうにも煮え切らない学者の3者が集まって決めることなどたかが知れている。「公正な審議会」という形式がある分だけ、嫌らしさが増しているというべきであろう。

「格差社会」に関する与野党論戦もいまいち論点がずれいている印象をぬぐえない。その実質は小泉=過度の規制緩和ではなく、「歪んだ規制緩和」であり、防衛施設庁官製談合事件にみられるような、不公正の温存なのである。
その点を踏まえずに、格差の本論を論じようとしても本質を見失うおそれがある。
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by foresight1974 | 2006-02-08 00:28 | 働く人々の「権利」を考える
 以前、当ブログでご紹介したが、ヤマト運輸と郵政公社が独占禁止法をめぐり争っていた裁判の判決が出たのでフォローしておきたい。

 この事件は、ヤマト運輸が日本郵政公社を相手取り、コンビニエンスストア大手ローソンでの郵便小包「ゆうパック」の取り扱い差し止めを求めた訴訟で、東京地裁は1月19日、ヤマトの訴えを棄却する判決を下した。
 同事件で、ヤマト運輸は郵政公社が税金免除などの優遇措置に基づく不当廉売を行っていると主張していたが、東京地裁は「ヤマト運輸は小包料金の原価について具体的な主張、立証をしていない」と述べ、「独占事業の信書の収益などを活用し、原価割れの料金を設定した」とする同社の主張を否定。「独禁法では民業を圧迫するかどうかは考慮の対象外。郵政公社の新料金体系導入後もヤマト運輸は売上高や収益を増やしている」と指摘、不当廉売に当たらないと認定した。

 ヤマト運輸は「残念だが主張は変えない」とコメントしたが、その後、2月1日になって東京高裁に控訴したことが明らかとなった。
 しかし、東京地裁が述べているように、独禁法では郵政公社が民業を圧迫したかどうかの判断が困難である。今回の事件は、独禁法の限界と、その限界外で民業を圧迫する巨大公社の実質が露呈したことである。

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by foresight1974 | 2006-02-04 09:57 | フリー、そしてフェア・トレード

Let's think about day-to-day topics.


by foresight1974