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 今、サッカーファンの間で静かにブームになっている本がある。
 木村元彦著「オシムの言葉」(集英社インターナショナル)である。
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=31629071

 現在、Jリーグ・JEF千葉監督を勤めるイビチャ・オシムはかつて、ユーゴスラビア代表監督だった。内戦で分裂する前の、最後の代表監督である。
 祖国が崩壊し、混乱する過程で指揮を取り続けた日々。そして、その後2年以上、妻子をサラエボの戦火の中に残したままヨーロッパのクラブチーム監督として指揮を執り続けた日々。。。戦争とオシムの人生をリンクさせることは必ずしも著者の本意ではあるまい。
 だが、それが大きな影を落としていることは間違いがない。

 多民族国家・ユーゴスラビアの元代表監督として、言葉の重みと危険性を熟知した名将の姿勢は日本に来ても揺らぐことはない。間違いなく、日本サッカーの「Statesman」である。
 そして思う。彼のような「言葉の重み」をきちんと持てる政治家が日本にいないということを。
 安部晋三、中川昭一、麻生太郎、、、「ポスト小泉」と言われ、また残念なことにこのような小人物たちが日本の将来を担う。憲法の理念に対する無理解、他者に対する配慮の欠如、無責任な蛮勇、、、彼らが国家の未来を語るとき、正直「とてもついていけない」という気持ちにさせられる。

 日本の景気は確かに良くなった。だが、本質的な変化にはまだ程遠い。
 結局のところ、それでも前に進んでいくほかはない。
 オシムがいつも言うとおり「それでも人生は続く」のだから。
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by foresight1974 | 2005-12-30 23:39 | サイレント政治・社会評論
 当連載の最終回は、ライブドア・フジテレビ問題が与えた影響を考えたい。
 
 まず、社会全体に与えた影響を考えると、ライブドア・フジテレビ問題は、そのセンセーショナルな取り上げられ方が良くも悪くも象徴的な意味合いを持ってしまったことは間違いはない。後世の人々も、この時代の空気を理解する事件で、この事件に触れざるを得ないだろう。劇場型の買収劇、法技術の粋を尽くしたに見せかけた法務攻防、最後の劇的な和解まで、素人的視点では「ヘタなドラマより面白い」という印象はあったのではないだろうか。

 また、この問題はジャーナリズムのあり方にも重大な疑問を投げかけた。当連載では産経新聞の報道姿勢を通じてこの点を取り上げたが、その後に続いた村上ファンドの阪神電鉄株取得事件、楽天のTBS株取得事件でも、利害関係のあるメディアによって同様の報道が繰り返されることになった。産経新聞だけが「ド変態」というわけではないことは指摘しておきたい。

 法的見地からはどうだろうか。これまでに、ライブドアの資金調達方法は合法であること、世間でいろいろと取り沙汰された防衛策は、実は現行商法でも可能であり、新会社法でも技術的な差がある程度にすぎないことも指摘した。
 また、ニッポン放送が発行した新株予約権に関する裁判所の判断の枠組みも従来の判例から逸脱したものではなく、その後に発生したニレコ事件、日本技術開発事件でも踏襲されている。判断の枠組みの「深化」の問題はあるものの、今回の問題が法的見地から決定的な「パラダイムシフト」を起こす事例ではないといえる。
 今回の問題に関連して、ある弁護士(匿名で報道されていたが、日比谷パーク法律事務所の久保利英明弁護士と推測される)が、「この事件のせいで日本のM&Aは10年前遅れた」と嘆いたと伝わっている。しかし、今日の新聞報道にもあるとおり、日本のM&Aは年間3,000件近くに達し、業種も金額も多様に富んでいる。目立つ事件ばかりがM&Aではない。実務的に大きな影響を与えていく事例がこれから何件も出てくることになるだろう。

 では、政治や政策に与えた影響はどうだろうか。
 今回の問題で重要なのは、保守勢力と政治的つながりの深いフジサンケイグループを狙った敵対的買収劇だったということだ。
 今回の問題に関し、政治家がどのように立ち回ったのかを検証し、最終回としたい。

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by foresight1974 | 2005-12-29 12:00 | 企業統治の公共精神
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「再任拒否、撤回要求する」 横浜地裁井上判事(朝日新聞電子版12月26日)

判決文の短さなどが問題になり、最高裁の下級裁判所裁判官指名諮問委員会が再任について「不適当」と答申した、横浜地裁の井上薫判事(51)が21日、東京都内で記者会見した。井上判事は「最高裁に対し、再任拒否を撤回するようあくまで要求する」と述べた。
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http://www.asahi.com/national/UPDATE/1221/TKY200512210568.html

F:
昨年、福岡地方裁判所が小泉首相の靖国神社参拝について違憲判断を示したとき、週刊新潮に現役裁判官が批判の論稿(とも呼べないシロモノであったが)を寄せて話題になったことがある。

この人物が当人であるのだが、その後、東京高裁の良いポジションまで上り詰めていたにも関わらず、いつの間にやら横浜地裁のヒラ判事に降格?されていたようだ。
そして、みんな心の中で「いつかはこうなる」と思っていたことが現実となってしまったのだ。

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by foresight1974 | 2005-12-27 02:07 | 「静かな司法」の克服を目指して
 本ブログは主に、法律問題をテーマとして取り上げているもので(それに関連する限りで社会問題に触れている)、今回の問題において誰が最終的に「トク」をしたか、ということには興味はない。
 だが、優秀な裁判官の条件が事件の「構図」全体を踏まえたうえで、優れた法律判断を示すことにあるように、本ブログでもこの事件全体をどのような「構図」で眺めているのかを、明らかにしておく必要があると思われる。

 結論からいうと勝利者はいないということになる。
 論者の中にはリーマンの一人勝ちと言う者もいるのだろうが、本来黒子役であるべき証券会社が堀江の余計なはしゃぎっぷりによって世間からイロモノ扱いされてしまった。「信用」が命の金融機関にとって大きなダメージである。今後、「江戸の仇は長崎で討つ」ことを最も得意とする人々によって、陰湿な報復を受けるリスクを負ったのである。
 メディアの守護神であり、今回フジテレビのTOBの営業面を支え続けた電通も、数字の上ではニッポン放送を守ることは出来なかった、力の限界を痛感したはずである。
 ニッポン放送の子会社化に余計な出費をしたフジテレビももちろん勝者ではない。
 司法戦争に勝利したライブドアも、M&Aの戦いで勝利を収めることが出来なかった。楽天とTBSの攻防が山場を迎えつつあった11月、ライブドアとフジテレビが設置した「業務提携推進委員会」が期限の半年を終えて解散した。事実上、フジテレビの「時間稼ぎ」となった同委員会で、ライブドアはメディアとネットの融合に何ら大きな成果を挙げることはできなかった。彼のふるまいと向かい合ったフジテレビからすれば当然のことであろう。
 もう一人、この「業務提携委員会」設置を柱とした、フジテレビとライブドアの「和解」を演出した者がいる。ソフトバンク・インベストメントの北尾吉孝である。ライブドアの司法戦争の勝利が確定し、絶体絶命のピンチに立たされたフジテレビを救い出した彼は一躍メディアの寵児となった。彼は勝利者といえるのだろうか?
 フジテレビの新たな守護神にソフトバンクの名前が出たとき、私は思わず噴出してしまった。7年前、Foresightに出たレポートを覚えていたからである。

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by foresight1974 | 2005-12-26 19:46 | 企業統治の公共精神
 前回のブログで、ライブドア・ニッポン放送事件における裁判所の判断の枠組みについてお話したが、今回はそこで残された課題についてお話していきたい。

 大まかに言うと、「会社は誰のものなのか」という点と「企業価値とは何なのか」という点だ。いずれも具体的な争訟の論点にはなじみにくく、今回の事件でもそれについて示唆的な表現にとどまるのはやむをえないだろう。どちらかといえば、こうした論点は実務の世界というより、アカデミックな世界に与えられた宿題といえる。

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by foresight1974 | 2005-12-25 10:49 | 企業統治の公共精神
 いよいよ、今回からニッポン放送がとった敵対的買収の防衛策、新株予約権の発行について論じていきたい。

 ニッポン放送は、2月23日の取締役会において、大量の新株予約権をフジテレビに発行する決議をした。その数は普通株4270万株という膨大なもので、発行済株式総数の1.44倍にものぼった。この時点で、ライブドアは42%の持ち株比率を有していたが、予約権が行使された場合17%にまで引き下げられてしまう。
 これに対し、ライブドアは翌24日、本件新株予約権発行の差止めの仮処分を申し立てた。

 本件について、法曹界の「予想」は真二つに分かれた。
 連載にあたり、各種報道をもう一度見直してみたが、「べき論」でいうならばライブドアを支持する意見が多かったように思う。しかしながら、裁判所がどのように判断するかという「予想」に関して、自信をもって予想した法律家はほとんどいなかった。
 ネット上の友人の間でも意見が分かれた。私は「ライブドアにせめて1勝くらいして欲しい」という希望を述べたのに対し、金融機関に勤める友人は「全敗」を断言。知合いの弁護士も「全敗」。ライブドアの「全勝」を予想した者は誰もいなかった。
 なぜか。それは裁判所の判断の仕方が純粋な法理論の判断というよりは、具体的妥当性のある解決策を設定し、そこから「逆算」して法律論が組み立てられるという現実があるからである。
 ライブドアの資金調達スキームは当時の法律では合法であることは明らかであった。だが、そうしたライブドアの「卑怯な」やり方を裁判所が後押しするような法律判断を示すかどうか、自信が持てなかったのである。

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by foresight1974 | 2005-12-24 19:06 | 企業統治の公共精神
 先日、当ブログで「ゲームメイカー退場-中山素平の功罪を問う-」という文章を掲載したが、その後、「Foresight」2006年1月号にキ文康隆(キは漢字の「七」を「森」状に配した字)がコラム「経済報道解読ノート」で中山素平を再び取り上げているのでご紹介したい。

 ここでの「企業家」というのは、経済学者シュンペーターが使った言葉である。

 東京商科大学(現一橋大学)で「景気変動理論における金融中心説の一考察」という、いかにもシュンペーターの影が濃い卒論を書いた中山は、そんな個性豊かな企業家たち(筆者注:ここではアラビア石油の山下太郎、日本精工の今里広記を指す)を愛したのだ。
 「資本が中心の資本主義なんか、あるべきじゃない」とは言うものの、企業の競争力は、最後は利益、つまり資本の論理で示される。善し悪しではなく、ほかに別の正解があるような話でもない。中山はそんなことを百も承知で自由な「ゲテモノ」たちのプロデューサー役を買って出た。
(「経済報道解読ノート」より)


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by foresight1974 | 2005-12-18 08:22 | 企業統治の公共精神
 それでは、新会社法になってからどのように変わったのだろうか。比較して論じていきたい。

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by foresight1974 | 2005-12-18 07:50 | 企業統治の公共精神

Let's think about day-to-day topics.


by foresight1974