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※当ブログの前身「foresightの未来予想図」の記事を再掲します。

 第2次世界大戦末期、共産主義を宣伝したとして、神奈川県特別高等課が治安維持法違反の容疑で評論家や出版社社員など60人を逮捕した事件がある。横浜事件とよばれるが、終戦直後に判決が言い渡され、30人の有罪が確定した。多くは軽い禁固刑などであったが、獄死者も4人いる。

 1986年に、終戦の合間に落ちたこの被告人たちを救おうと再審請求が開始され、実に16年。ついに再審決定が下った。

 だが、裁判は長い。再審請求をした被告人5人は全員死去していた。彼らの生前の名誉回復はついにならなかった。司法は真摯に反省し、再審に全力をあげるべきである。

 問題は二つある。
1、治安維持法はポツダム宣言受諾で無効になったのか?
2、刑事訴訟法の再審の規定は事実認定の誤りが前提であって、法律問題の変更には適用されないのではないか?
という点だ。

 1については、ポツダム宣言受諾によって、日本は国際公約として人権保障と民主化を約束したのであり、また、宣言の受諾により国際法の国内法的効力により、治安維持法の各規定が無効になった、という考えがある。これで十分だと思われる。

 また2については、近代刑事法では類推解釈の禁止が原則であるが、その反対解釈として「被告人に有利な類推解釈」は許容されているのであるから、これを適用するべきであろう。

 さらにいうならば、刑法6条は裁判時に法律が変更された場合、そのうちの最も軽い刑が適用されることになっているが、終戦により、民主化と人権保障の徹底化が図られ、治安維持法が廃止された経緯を考慮するならば、これを適用することも視野に入れるべきであろう。

 日本人は、戦後みずからの歴史を裁く機会が無かった。この事件の再審は、そのいい機会だと考える。
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by foresight1974 | 2003-04-16 23:00 | 正義の手続を考える

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