カテゴリ:働く人々の「権利」を考える( 11 )

【要旨】
会社が、C型肝炎に罹患して長期治療を継続していた従業員の衛生管理情報の引継ぎを怠ったため、転勤後の職場の上司において、当該従業員の転勤直後の入院治療を非難したり長期のインターフェロン治療を要することにつき退職を示唆したりした言動が、インターフェロンの副作用等とともに当該従業員のうつ病発症の要因となったとして、会社の安全配慮義務違反が認められたが、右安全配慮義務違反とうつ病発症から約2年3か月後の自殺との相当因果関係は否定された事例。(大阪地判平成22年2月15日/日本通運(うつ病自殺)事件/判時2097号98頁/判タ1331号187頁)
(衣笠葉子「従業員のうつ病発症についての使用者の安全配慮義務」民商146巻2号85頁より)


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by foresight1974 | 2012-08-23 20:14 | 働く人々の「権利」を考える
ちょっと遅くなってしまったが、2006年9月16日号の週刊東洋経済に「日本版ワーキングプア」という特集記事が掲載されたのでご紹介しておきたい。

今や120万人以上にのぼる、若年層、そして外国人の過酷な労働実態を20ページ以上にわたって明らかにしている。

仕事柄、若年層の働く実態については状況を把握していたので、それほど記事内容に驚きはなかったが、衝撃的だったのは外国人の労働実態だった。

「外国人研修生という名の奴隷」と題された記事では、研修の名目で日本に来た外国人を、不当な低賃金で働かせている実態が次々と明らかにされていく。

てっきり、甘言を弄して中国人学生を騙すブローカーの話かと思ったらそうではない。公益法人・国際研修協力機構(JITCO)が運営する制度で堂々と行われているのだ。
中にはセクシャルハラスメント、刑法では強姦罪に問われるような痛ましい事例もあった。

かつて、日本人の海外旅行者が1,000万人に達しようとしたころ、海外で日本人・アジア人に対する差別を通じて、ナショナリズムや日本人というアイデンティティを自覚した人が増えているという話を聞いたことがある。

今後、外国人が日本に学びの場を求めて来日する例は増え続けるだろう。そして、そうした人々はほぼ確実に、こうした差別的待遇の「労働」を体験するのだ。
かつて日本人が目覚め、今の安倍政権につながる右傾化が起きたように、日本に来た外国人たちがやはり母国に「ナショナリズム」を持ち帰ることになるのだろうか。
日本で将来、911が起きないとは、誰にも保障できまい。
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by foresight1974 | 2006-10-15 10:18 | 働く人々の「権利」を考える
 8月12日・13日の朝日新聞朝刊によれば、シャープ、トヨタといった日本を代表する有名企業グループで、工場内の下請け労働者の労災隠しが相次いで発覚し、関係当局が調査に入る事態となっている。

 労働者派遣の自由化が進み、こうした企業内で非正規社員の雇用が広がる反面、二重三重に組み込まれた偽装請負により、工場内で発生した事故が表面化しにくくなっている。

 偽装請負は深刻な影響をメーカーにも及ぼす。最近になって発覚したトヨタのリコール隠しの問題は、「品質のトヨタ」という幻想が完全に崩れ去った。
 請負労働者の起用により、製造現場では短期間に次々と人が入れ替わることになる。何度も同じことを一から教えなおさなければならない現場の正社員の疲弊は深刻である。それが、製品の最終組立の段階で、品質に悪影響を及ぼしているのではないだろうか。
 この点につき、実態はほとんど調査されていない。

 13日に報じられたシャープの労災隠しは、三重県の亀山工場で行われていた。「生産拠点の国内回帰」の象徴であった亀山工場は、当初地元自治体に大きな期待を持って迎え入れられた。
 しかし、実態はどうか。
 以前、テレビ東京系列「ガイアの夜明け」では、亀山工場の入り口に次々と乗り付けられるライトバンの姿を放送したことがある。製造請負会社が派遣した非正規社員を送迎するための車両である。望遠で撮影されたところをみると、シャープ側の取材許可は下りていないのだろう。
 国内回帰の名で行われたことは、人件費の安い地方で、企業側の都合の良い非正規雇用の濫用だった。
 地元への雇用貢献はほとんどなかった亀山工場で発覚した労災隠し。信用は完全に失墜したと言っていいだろう。

 人件費の抑制の名の下に行われる非正規社員の切捨ては、確実にこの国の国力を削ぎつつある。政権発足当初、わけも分からず「ワークシェアリング」とほざいていた小泉政権が忘れていた、改革の末路の姿である。
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by foresight1974 | 2006-08-20 18:07 | 働く人々の「権利」を考える
 原型を留めないほど押し潰された列車に集まる救急隊員たちを写した、上空ヘリからの画像―
 知人に巻き込まれた人がいない筆者でも、あの生々しい光景を昨日のことのように思い出すことが出来る。

 尼崎脱線事故から1年。
 誰一人法的責任を問われることがなく経過した昨日、事件の本質を突く動きがあった。

 共同通信が配信した「日勤教育で苦痛」と提訴 JR西運転士らというニュースだ。

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by foresight1974 | 2006-04-27 21:17 | 働く人々の「権利」を考える
日本経済新聞社の関連会社・ディスコが運営している人材採用情報サイト「DISCO HR-Plaza」に法政大学教授・佐野哲(社会学)が面白い論考を寄せいていたのでご紹介したい。

労働市場自由化政策の背景にあるもの」は、小泉純一郎にいう「自称景気回復」の中で、労働者の環境を自由化の名の下に切り下げられていく実態を説明している。

前置きは長いが、城山三郎の有名な小説「官僚たちの夏」を引き合いに出した「かつての通産省にあったような「良い対立」が、労働市場政策を企画立案する現場に果たして存在したのかどうか?」という問いは、今の理念なき労働市場自由化政策の問題点を的確に指摘している。
この問いに対する答えは、「ない」が正解だからである。
その後の論考については、これまで様々な論者が言い尽くしてきたことであり、目新しさはないが、改めてこの問題に対する適切な視座を与えている。

労働者の切実な利害を代表していない組合側と、経済再生という圧倒的大義名分がある経済界。そして、どうにも煮え切らない学者の3者が集まって決めることなどたかが知れている。「公正な審議会」という形式がある分だけ、嫌らしさが増しているというべきであろう。

「格差社会」に関する与野党論戦もいまいち論点がずれいている印象をぬぐえない。その実質は小泉=過度の規制緩和ではなく、「歪んだ規制緩和」であり、防衛施設庁官製談合事件にみられるような、不公正の温存なのである。
その点を踏まえずに、格差の本論を論じようとしても本質を見失うおそれがある。
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by foresight1974 | 2006-02-08 00:28 | 働く人々の「権利」を考える
労働時間規制を大幅緩和──厚労省研究会が報告書
 厚生労働省の研究会は27日、労働時間規制の抜本的な見直しを求める報告書を発表した。法定労働時間を超えて働いた場合に割増賃金を支払う規制の対象から、管理職手前の会社員も除外できるようにする新しい制度を打ち出した。一般の労働者に関しては年次有給休暇の取得を促すなど健康維持に軸足を置いた。働き方の多様化や国際競争力の強化をにらむ企業の要請に対応したが、労働組合には反対論も根強い。(1月28日 日本経済新聞朝刊)


 昨年から何度かに分けられてアドバルーンを上げられている労働基本法改正問題。いよいよ外堀が埋まり始めたようだ。

 記事中に、興味深いくだりがあった。「課長代理」以上は裁量労働型として扱うという項目である。この役職、女性が就いている会社が非常に多い。課長候補生として扱う役職であるというほかに、要は「課長にするまでもないが、女性が仕切っている職場」には好都合の肩書きなのである。
 なんだか巧妙にはめられる予感がするのは私だけだろうか。
 
 この規制緩和の一連の流れの中で、法曹界はとても静かだ。労働法の大家である菅野和夫明治大学教授は、この労働契約法推進論者である。日弁連は態度を明らかにしていないし、現時点で、法曹界が一枚岩の態度を示したことはない。

 5年前、小泉純一郎が内閣を組織したとき、すぐに話題になったのはセーフティネット構築としてのワークシェアリングだった。
 しかし、未だセーフティネットは構築されず、ワークシェアリングにいたっては話題にのぼることすらない。現状の企みは、逆行しているのかもしれない。
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by foresight1974 | 2006-01-30 21:30 | 働く人々の「権利」を考える
この裁判の行方は注目される。

-派遣社員の長男の事故死 両親が賠償を求めて提訴-(朝日新聞電子版2005年11月10日)

派遣社員の長男が派遣先の工場で作業中に死亡したのは、工場側が安全対策を怠ったためだとして、両親が9日、工場と人材派遣会社に1億4200万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。派遣社員が事故に遭った場合、派遣元や派遣先はどう責任を負うべきなのか――。派遣社員となる若者が増える中、安全への取り組みが遅れている実態が浮かび上がっている。


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by foresight1974 | 2005-11-10 22:16 | 働く人々の「権利」を考える
 まだやっていたのか、というようなニュースだった。
 JR発足時に労働組合員が大量に不採用となった問題で、東京地裁は昨日、JRへの採用差別があったことを認定して慰謝料の支払いを命じたのだ。

 JR発足から18年。なぜ今もこの問題が争われているのだろうか?

 

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by foresight1974 | 2005-09-16 23:00 | 働く人々の「権利」を考える
 今日の日経朝刊によれば、厚生労働省は休日や週40時間を超える労働に割増賃金を支払う規制について、適用除外を拡大する方針を固めたという。

 昨年も時短促進法改正問題を取り上げたが、最近、厚生労働省の政策が静かに、しかしながら大きな転換をみせている。方向性としては、「国家が労働者の労働時間を管理する」というものから、「労働者の労働時間を原則自由化して、働き方のスタイルを類型化して規制する」というものに変わりつつある。
 が、これは奇麗事としてまとめた考えである。

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by foresight1974 | 2005-04-28 20:00 | 働く人々の「権利」を考える
11月17日の日本経済新聞朝刊によれば(Webで確認出来るのは四国新聞社の記事)、厚生労働省の労働政策審議会の労働条件分科会は、次の通常国会において、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」(時短促進法)を改正し、法案で目標とされてきた「総労働時間目標1800時間」を撤廃する方針を打ち出したという。(また、法律名から「時短」の文字を削除するという)

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by foresight1974 | 2004-11-27 00:05 | 働く人々の「権利」を考える

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