新大統領誕生礼賛への「諌め」

まずは素直に喜びたい。
ペイリンが副大統領に選ばれなかったことを。(苦笑)

そして、アメリカ合衆国建国から200年あまり。「自由と民主主義」を国是とする国が、曲がりくねった長い道矩を経て、ついにアフリカ系アメリカ人から初の大統領を選出するに至ったことを。

今回の勝利は、2つの意味で民主主義の勝利と言って良い。
一つは、アメリカ社会を覆うカラー・バリゲードの大きな一つが、確実に取り除かれたこと。
もう一つは、「アメリカ社会の統合」を訴えた候補が勝利したことである。
これに比べ、ユウセイカイサンのように分かりやすい「敵」を作り出して、短絡的な二元思考に社会を分断し、利己的に「闘う政治家」を気取っている、最近の日本の政治家たちは何と薄っぺらいことだろうか。

この2つの意味で民主主義が勝利したことは、素直に評価したいし、それを惜しむつもりもない。

だ、だがちょっと待って欲しい。とも思う。
勝利の美酒に酔うのは、もう終わりにするべきじゃないだろうか?




無論、新大統領が取り囲まれる情勢が楽観を許さないものである、ということもある。
が、そもそも大統領とは「選ばれたらおしまい」という職業ではないはずである。
バラク・オバマはそもそも何もなしえていないし、そもそも何も始めてもいないのである。
ましてや、アフリカ系アメリカ人から選ばれた、ということが何らのエクスキューズにもならない職業である。
ところが、ネット上のリベラル系の言論には、「幻想」が一人歩きしているものが散見されている。中には、オバマというだけで自分たちの政治的主張を何もかも叶えてくれるような、少々おめでたさが過ぎる意見もみられるようだ。

忘れてはならないことを一つだけ押さえておかなければならない。
相手は、アメリカ合衆国の大統領なのである。日本は、政治的・経済的に生殺与奪の権利を握られている「同盟国(笑)」という立場は何ら変わっていない。
オバマはナイーブな反戦主義者ではない。むしろ、彼はリベラルな民主党から選出された大統領という立場に大きな制約を受ける。つまり、もともと「タカ派」とみられていない彼は、「タカ派」と見られていたマケインよりも、安全保障問題に毅然とした態度を、「必要以上」に見せなければ、アメリカ国民の支持をつなぎとめられない立場にあるということだ。
このことは、同盟国という名の属国状態にある日本に対し、今まで以上に「配慮の欠けた」、安全保障上の要求事項が増す、というリスクが発生したことを意味する。
なにぶん、「アメリカと太いパイプ」を豪語する自民党の政治家の皆さんは、民主党に対してのパイプは、共和党の10分の1もないだろう。自民党の共和党依存症は深刻であり、いっそのこと、日本の政権与党も「民主党」にしておいた方がよかろうと思うくらいだ。

とはいうものの、それでもブッシュよりもオバマの方が数段マトモな政治家であることは論を待たない。無益な争いは減るだろうし、安っぽいポピュリズムに分断された社会が融和されることは十分期待できる。国際的な協調路線にも、オバマの方が我慢強くやってくれる期待は持てる。
が、政治は結果が全て、という「そもそも」をお忘れなきよう、こんなひなびたブログをご覧のリベラル派諸氏をお諌め申し上げたい。
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by foresight1974 | 2008-11-24 01:09 | サイレント政治・社会評論

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