参院選:安倍政権の何を糾すべきなのか(3)

 さて、これまでみてきたように、極端な反対者を「仮想的」とし、稚拙な論理で反駁するものの、自身が打ち出す「改革」政策はどれもピント外れ。
 これが、この1年で安倍政権がやってきたことである。

 その最たる例が、「親学」提言の一件であろう。

◇「親学」提言のポイント
(1)子守歌を聞かせ、母乳で育児
(2)授乳中はテレビをつけない。5歳から子どもにテレビ、ビデオを長時間見せない
(3)早寝早起き朝ごはんの励行
(4)PTAに父親も参加。子どもと対話し教科書にも目を通す
(5)インターネットや携帯電話で有害サイトへの接続を制限する「フィルタリング」の実施
(6)企業は授乳休憩で母親を守る
(7)親子でテレビではなく演劇などの芸術を鑑賞
(8)乳幼児健診などに合わせて自治体が「親学」講座を実施
(9)遊び場確保に道路を一時開放
(10)幼児段階であいさつなど基本の徳目、思春期前までに社会性を持つ徳目を習得させる
(11)思春期からは自尊心が低下しないよう努める


 もう、馬鹿らしさのあまり、論評する気にすらなれない。
 さすがに、「愛国」大好き伊吹文部科学大臣も苦言を呈して最終報告には盛り込まれなかったそうである。

 だが、この「提言」にこそ、安倍政権の本質が隠されている。
 それは、「独善」である。



【独善】
自分だけが正しいと考えること。ひとりよがり。


 この政権は、なぜ「幼稚」で「ピント外れ」で「余計なお世話」ばかり焼くのか。
 それは、この政権を構成する人間たちが「確信犯」でも「偽善者」でもなく、「独善」だからである。
 独善のやっかいなところは、自分たちの「正しさ」に何らの疑問を持たないことである。自分が正しく、相手が邪論であることは、無条件の前提とされている。邪論だから、自分たちの論敵は「国家権力は抑圧装置であり、国民はそこから解き放たれなければ本当の自由を得たことにはならない」と考えるのであり、郵政民営化や道路公団民営化で「改革」が成し遂げられたと誤認する。そして、「愛国」だの「親学」だの頼みもしないものを押し付けてくるのである。
 彼らにとっては、正しいことを「啓蒙」することに使命感がある。だから、「美しい国」という、いい大人が口にするのが恥ずかしくなるようなスローガンを掲げられるのである。

 こうした独善者がこじれてくると、自分たちの「善良さ」がなぜ多くの人々に理解されないのかが分からず、混乱するようになる。そのため、自分たちに敵対すると思われる人々に極端な対応をとるようになる。
 そのいい被害者が朝日新聞だ。佐田行政改革相の事務所費問題をはじめ、安倍政権批判を強めてくると、官邸側は他紙のみに政権側の情報をリークして、朝日新聞だけ外すという「特オチ」をしばしば見舞うようになった。
 挙句、安倍晋三自ら朝日新聞等の報道に抗議して名誉毀損訴訟を起こす始末となっている。
 時の宰相が一新聞社を告訴するなど、前代未聞である。マレーシアやシンガポールでは、こうした手法で政権批判を封じ込めることがしばしば行われているが、どうやら、日本の政治家もそのレベルまで堕落したようである。

 この状態で、この国は憲法改正や集団的自衛権の行使に踏み切ろうとしているのである。
 ここで安倍自民党が勝利するようでは、この国はおしまいである。
 それが、私の今回の投票に関する思考の結論だ。

 実のところ、まだ投票する政党は決めていない。(自民党にだけは絶対に入れないが)
 このまま民主党が勝利して、与野党が逆転しても、日本国憲法の危機は終わるまい。むしろ、試練はここから始まる。
 各種調査によれば、どうやら安倍晋三にガツンと一発見舞うことがかないそうな情勢ではあるが、その先を見越して一票を入れるべきか、思案のしどころである。

(おわり)
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by foresight1974 | 2007-07-26 00:41 | サイレント政治・社会評論

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