日銀追加緩和で露呈した「1本の矢」しかない日銀・政府の経済政策の惨状

「このままでは2%程度といえなくなる」。決定会合2日前にまとめた展望リポートの原案で、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の見通しは消費増税の影響を除き、1%台半ばどまり。黒田総裁ら執行部に激震が走った。
(日本経済新聞2014年11月2日朝刊)




聞いて唖然としたが、その理由を翌日の日本経済新聞で知って、さらに愕然となったニュースであった。
これでは、市場との対話力も前任の白川方明と五十歩百歩ではないか。そう言われても仕方がない。
もはや数字ばかりの物価目標の達成と露骨な為替操作以外に目的は見いだせない。
メディアも市場との対話を放棄した、単なるだまし討ちを「サプライズ」と表現する報道の在り方を、そろそろ見直すべきではないだろうか?

わけても不可解なことは、4名の委員から反対があったにもかかわらず、追加緩和を強行した、政策決定の経緯である。
そもそも、最初の大規模緩和が実施されたとき、消費税増税後の反動減を下支えするために、今年の夏場までには追加緩和に踏み切るだろうという意見が大勢を占めていた。追加緩和を実施することで2度目の消費税増税の判断基準となる、今年第二四半期の経済状況を好転させようというわけである。
ところが、黒田の景気に対する楽観的な見解は一向に変わることはなく、実際に追加緩和を実施しないまま10月も終えようとしていた。今さら追加緩和を実施して第二四半期~第三四半期の経済を好転させるにはタイミングが遅すぎる。市場関係者のほとんど全員が今回の緩和を予想しなかった論拠である。
今回の政策決定は、誰より黒田が自分自身の言葉を裏切っている。市場との対話力を買われて就任したはずの人物がである。

なぜこんなのことになったのか。
それは、アベノミクスの三本の矢と吹聴された政策は、本当は一本しかなかったからである。
残りの二本の矢を放つはずの政府・自民党の経済政策は旧態依然としたバラマキが続き、現役世代が将来に向けて安心を得て、積極的な消費につながるような政策は絶無であった。
そして、基本的に魔法の矢はないのであるが、誰も認めようとしない。
安倍晋三が集団的自衛権なるバカげた政策に血道をあげている間に、時間ばかりが経過してしまった。
アベノミクスという言葉にいろいろな罵詈雑言が飛び交っているが、基本的に、安倍晋三は消費税を一度上げる以外、決定的な政策は何も打ち出していない。そういう意味で、アベノミクスはアベノミクスですらない。ネット右翼が褒めそやす安倍政権の「政権担当能力」の実態である。
結果、黒田日銀ばかりがババを引かされ、追い詰められているのである。
それが委員全員わかりきっているから、票が割れたのでないだろうか。

為替レートで40%も円を安くしたのに、輸出が全く増えない日本の経済にしたのは、ほかならぬ、長年君臨した自民党政権である。
そして、それを2012年に再び選んだのは、この国の有権者である。
喫茶店で注文したコーヒーに、わきからジョボジョボ水を入れられて薄められているような目に遭っているのに、50%も60%も支持を与えているわけである。度し難いお人好しぶりである。

子供騙し、という言葉があるが、世の中、大人の方がよっぽどひどい騙され方をするものである。

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by foresight1974 | 2014-11-03 15:35 | サイレント政治・社会評論

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