新聞各紙の社説検証で見えた「送り手」と「受け手」の堕落(By foresight1974)

 1月13日のブログでお話したNHK番組改変問題について、本日までに、全国主要5紙(読売、毎日、朝日、日経、おまけで産経も入れる)の社説が出揃った。ここで非常に興味深い現象が起きていることにお気づきだろうか。

 各紙の社説を一度読み比べていただきたい(産経はご熱心に2本書いているが)。各紙の論証が全て正しいと仮定しても矛盾がないのである。つまり、各紙の見解は全て同列に成り立ちうる見解となっているのだ。





 まず、読売新聞は「NHK幹部が番組をチェックして編集しなおしたのは当然だ」と書いている。そして、毎日朝日は「事前に安倍氏や中川氏の介入があったことは不当だ」と書いている(日経も同調)。そして産経は、番組が取材した民衆法廷の実態に触れ「そもそもこの法廷を教養番組として放送すること自体が不当」だとしている。

 つまり、いずれの見解も正しいとしても、一つの事実として矛盾なく成立するわけである。
 ネットのブロガーの皆さんの多くは「真相は藪の中」だと考えているらしいが、冗談半分で言わせてもらえば、各紙の社説で指摘された事実を全て時系列順に並べたら、真実が浮かび上がるのではないかと苦笑してしまう。

 なぜ、こんなことが起きたのだろうか。かつてイデオロギーの対立がもっと鮮明だった時代にはこのようなことは考えられなかった。保守紙とリベラル紙は正面から四つに組み合ったものである。
 これには理由がある。誰が言ったかは忘れたが、「大事なことを伝えないことは嘘をついたことと同じである」というような意味の言葉があるが、まさに新聞各紙は、自分達の読者に心地の良い言葉を届けるよう、自分達の主張に不利な事実を巧妙に伏せたわけである。産経、読売らはこういう手口を常套とする「人権派弁護士」とやらがお嫌いだそうだが、何のことはない。自分達もやっていたというわけである。(人権派弁護士大好きの朝日毎日はいうまでもないことだが)

 アメリカではFoxニュースにみられるように情報を受け手に心地の良いものだけ流すという現象を「インフォテイメント」という造語で呼ぶそうである。日本のニュースも「報道ステーション」にみられるように、「受け手に分かりやすく」を標榜しながら、その実はこうした病理が進行していたわけである。
 そして、心地良い受け手からすれば、対立する見解を載せる新聞は攻撃の対象でしかない。2ちゃんねるウヨクに見られるように、朝日新聞などが「突っ込み所満載」の電波新聞と化してしまうわけである。そこには「産経と朝日のどちらが正しいか」という検証の余地はない。最初から結論など頭の中で決まっているからである。

 こうして送り手の堕落は受け手の堕落へとつながっている。日本社会は現時点で、この馬鹿げた堕落の連鎖を断ち切る手段を見出してはいない。
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by foresight1974 | 2005-01-19 00:38 | 表現の自由への長い道距

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